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ロシアピアニズムセミナー

先週、ロシアピアニズムのピアニストの方々を対象にしたセミナーを川口リリアでおこないました。

元々セミナーをやろうと考えていたわけではなく、Twitterのフォロワーの方が「ビートのレッスンをピアニスト達で体験して考察してみたい」ということでメンバー集めをしてピアノスタジオを予約してくださり、まさに受動的にセミナーを行いました。

 

参加メンバーは5名でピアノ指導者とロシアピアニズムを習っている方。

 

あえてセミナーで何をやるか段取りを決めることはせず、その場の会話や反応の流れでやることを決めました。

 

当日3時間かけてやったことを簡単に説明すると、外側の筋肉をゆるめる、内側や中心を使う感覚を感じる、重心の固定を無くし足や手を転がりやすくする、踏んだ力が腰首脳天に抜ける感覚など。

普段の立ち方や歩き方とは違う感覚を体験してもらいました。

 

そういったことをやりつつ、合間にピアノを弾いてもらい感覚を確かめてもらいました。

 

ビートでは、器具を使ったりいろいろな工夫をして普段とは違う「良い感覚」を体感してもらうことを重視しています。

それは海外の天才の感覚です。

 

そうした感覚を体感することが、ピアノ練習の大きなヒントになります。

そして、天才の言葉が直感的に理解できるようになります。

普通の人が普通の体で直感的に正しいと理解できることをやっていても、天才にはなれません。

天才は普通の人の感覚から、はみ出しているからです。

 

こういった感覚は、文章で読むのではなく、実際に体感することに意味があります。

文章では、どれだけ素晴らしい言葉も読む側の解釈で歪められてしまうからです。

 

今回は男性ピアニストの方が2人いたので、新しい発見も沢山ありました。

 

例えば脚の体重のかかり方に左右差がある場合、女性であれば骨盤にすぐに影響があるのですが、男性の場合は骨盤が閉まっていて中心が逃げない。

 

背中が硬そうだから腱鏡も使えてないのかと思いきや、肩甲骨の周りに無駄な力みはなく、音を体の中心で受けることが出来る。

男性の身体は中心が崩れにくくてズルいですね。

羨ましいです。

 

ただこの日受けて下さった女性の方々は脚が皆綺麗で、脚の修正はあまり必要なく、適切な刺激を加えることが主な内容となりました。

 

あまり変化を感じない女性もいましたが、おそらく元々の身体の条件がかなり良い方だったので、刺激に対する変化はあまり感じなかったのだと思います。

このような方の場合は中心を強くするトレーニングのほうが効果的です。

(セミナーの時は時間が足りなくて出来ませんでした)

 

男女関係なく皆さん、まだまだ下にいっても落ちない腕になると思いました。

支えが強くなれば、もっと下に行けますし(鍵盤が下にいくという意味ではありません)もっと上がります。

思い切り放り投げても、落ちないで上がる腕を作ることは出来ます。

 

ピアニストの方々は肘を曲げている時間が長いので、上腕三頭筋、上腕二頭筋が固くなりがちですね。

常に肘を曲げて縮めているような感じです。

 

ここの流れが悪くなると、腕が軽くなり過ぎて適切な重みを感じづらいと思います。(当日この部分はあまりやる時間が無くて残念、腕にかぎらずまだまだやることはたくさんあります)

 

ピアニストの上半身については、まだ迷いが私の中にあったのですが、この日気づいたこともあり、今もまだ考え続けていることもありますが、私にとってとても良い機会となりました。

 

今回のようなセミナーを定期的におこなっていけば、ピアニストはどうやって体を作っていけば良いか、どんどん明確になっていくと思います。

そういった体を変える準備運動、良い感覚を感じるための準備運動をピアノのレッスン前にやっていけば、演奏のレベルもピアノ指導のレベルも上がっていくことは間違いないと確信しました。