前回の続き。
「①おなか単体で引き上げるタイプ」
「②内ももを使うためにおなかを引き上げるタイプ」
「③まっすぐ垂直に踏むタイプ」
そして
「④しなりを転がして踏むタイプ」
以上のように4つのタイプに番号をつけました。
ネット上でもリアルでも指導者やバレエダンサーが「これが正しい、これは間違い」と主張しています。
情報過多で何が正しいかわからなくなっている人が多いと思います。
これはほとんどの場合、自分の体でやりやすい方法を正しい。と主張しているだけです。
例えば「バレエはまず先に引き上げが正解。引き上げないと踏めません。先に踏むのは間違いです。」と断言してしまう先生をネット上で見かけました。
この人は床が踏めない条件の人です。
先に床を踏もうとすると沈んでしまう。
だから条件の悪い自分の体を基準にして「先に引き上げるのが正解」と主張しているわけです。
そして条件の悪い生徒(大人から始めた人も)は、条件の悪い先生の指導がしっくりきます。
条件の悪い先生の言うことは、わかりやすい、納得できる、共感できるからです。
両者の体が近いからです。
だから下手な人は下手な先生を自然に選んでしまいます。
だから大人には、床が踏めない先生、ターンアウトしない先生が人気が出がちです。
「生まれつき条件の良い人しかしなりで踏めないなら、私は今までどおり引き上げをやっていよう、今までどおりまっすぐ床を踏んでよう」
あなたはそう思うかもしれません。
ですが、しなりで踏むことで体の条件はバレエ向きに変わっていきます。
体をゆるめながら強くしていけるからです。
外側の筋肉の力を使う割合は①>②>③>④です。
数字が大きいほど外側の筋肉を使わないので、関節の可動域を広げやすいのです。
数字が大きいほど、内側や中心の力が強くなり、無駄な力を使わずに自由に踊ることができます。
体の負担もありません。
数字が小さいほど外側の筋肉が強くなり固い踊りになります。
引き上げをすると股関節が後ろに行きやすいのでお尻や脚の外側を使ってしまいがちです。
外側の筋肉を使う割合が高いので、筋トレをすると踊りやすくなりますが、条件はどんどん悪くなっていきます。
体の負担が大きく怪我をしやすいです。
①②③はバレエに向いてない条件の人の方法ですが、逆を言えばこれらをやっているかぎり、いつまでたってもバレエに向いてない条件のままなのです。
だからいつまでたってもバレエは難しいままです。
そういうわけで、条件の改善しやすさは①<②<③<④です。
引き上げバレエだと体を内に締めて細く小さく狭くしていくので生まれもった素質以上にはなりにくいです。
踏めないから引き上げる→引き上げると条件が改善できない→条件が改善できないから踏めない→踏めないから引き上げる、以後もその繰り返しです。
引き上げという方法で練習しているかぎり、いくら努力しても踊れない体の人は踊れないままで、行き止まりの道を前に進もうとしているようなものです。
日本では昔は引き上げ派が主流でしたが、少しずつ踏む派も増えてはいるようです。
これは踏むということ自体が新しいわけではまったくなく、踏み方を教えられるようになってきたのが新しいことなのです。
バレエは一周回って本来の姿を取り戻しつつあると言えます。
以上で4種類の説明を終わります。
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