前回までは踏めない人と踏める人の体の違いについて説明してきました。
今回は、踏めない人と踏める人が、どのような体の使い方をしてバレエを踊っているか、4種類にわけてお話したいと思います。
これを読めば、バレエ指導者やバレエダンサーそれぞれが「正しい」と主張していることが何故違うのか?その理由がわかります。
この記事を読めば、皆さんの教室のバレエ指導者、あるいはネット上で見かけたバレエ指導者やバレエダンサーがどんなバレエを教えているか、はっきりとわかるようになります。
そのバレエを習うと最終的にどうなるか?そのバレエの長所短所、努力しても上手くならない理由なども丸わかりです。
子供であれ大人であれ、教室選びの参考になる記事です。
そういう意味では、この記事の内容が広く一般に知られてしまうのはバレエ指導者にとって恐ろしいことではあると思いますが、とても大事な話なので書いてみます。
本当はバレエを始める前に全部知っておいたほうが良いことです。
まず、これはメソッドの話ではありません。
ある一つのメソッドをやる人が100人いた場合、その100人は4種類の体の使い方に分かれていく、という話です。
同じメソッドを習っても4者4様の体の使い方にならざるをえないのです。
バレエダンサーは大きくわけると「引き上げて踊るタイプ」と「床を踏んで踊るタイプ」の2つにわかれます。
引き上げて踊るタイプも、①おなか単体で引き上げるタイプ、②体の中心から床を踏むためにおなかを引き上げるタイプにわかれます。
床を踏んで踊るタイプも、③まっすぐ垂直に踏むタイプ、④しなりを転がして踏むタイプにわかれます。
簡単にそれぞれの説明していきます。
①おなか単体で引き上げるタイプ。
このタイプは、おなかを閉め、固くすることによりブレを少なくして、脚に体重をかけず脚の負担を軽くして踊ります。
これは比較的、日本人男性バレエダンサーや大人からバレエを始めた方に多いと思います。
この引き上げをする人の中には回転などのテクニックが得意な人もいて、コンクールで上位になることもあります。
生卵とゆで卵を思い浮かべてもらうとわかりやすいと思いますが、ゆで卵のほうがクルクル回しやすいですよね。
②体の中心から床を踏むためにおなかを引き上げるタイプ。
このタイプは、おなかを引き上げることにより股関節、内ももを使いやすくして踊ります。
まず引き上げて、上を作って下に刺します。
引き上げるので上体が固くなります。
上手く体が繋げられた場合、張る力に変えていける人もいます。
脚はまっすぐ下にぶら下がるので(高い鉄棒にぶら下がっているようにただ骨盤の幅で脚がぶら下がるだけで)、X脚で甲が出るS字ラインの脚にはなりません。
引き上げによって自然に5番に入ることはありません。
内ももで寄せないと5番に入りません。
これは両脚を、パンを挟むトングのように動かして5番に入れるということです。
内ももで5番に入れる動きの方向(外から内に寄せる方向)と、5番からポワントに立つ動きの方向(内から外に広げる方向)は正反対のため、ふくらはぎが必ず太くなります。
お互いの動きがお互いの負荷になるためです。
ピラティス等で脚をトングのように動かすエクササイズで内ももを鍛え、ふくらはぎをセラバンドで鍛えると、お互いの負荷が益々高まります。
内ももを寄せて5番に入れる力が強いほどふくらはぎが太くなり、ふくらはぎが強いほど5番に深く入りにくくなる。
堂々巡りです。
こうなると、どうしてもふくらはぎから足先に力を入れて伸ばさざるをえなくなります。
そういう脚は形的には伸びてるけど、動きとしては伸びて見えません。
日本人バレエダンサーに多い、太ももが細くふくらはぎだけが少し太い体型になりやすいです。
だから、本来バレエでは内ももでトングのように脚を寄せて5番に入れては駄目なんです。(じゃあどうやって5番に入れるの?という話は次回します)
それでも、引き上げると内ももが使えて踵も踏みやすくなるので踊りやすくはなります。
次回は床を踏むタイプ2種類の説明です。
続く。