前回の続きです。
まず、踏めない人と踏めてる人の体を理解しやすくするため両者を服で例えてみます。
踏めない人は「胴が短く脚が長い」「みぞおちが腰」ですから、韓国の民族衣装のチマチョゴリみたいな体です。
日本の着物も帯の位置は高いです。
おそらくアジア人女性は、みぞおちあたりを「腰」「ウエスト」と感じていたのでしょう。
それでも日本人よりは韓国人のほうが踏めています。
日韓のアイドルを見てもそう感じます。
「みぞおちが腰」状態がわかりやすいのが、下手な人のパッセやグランバットマンです。
みぞおちからグニャっと曲がりますよね。あれです。
悪い意味で長い脚を上げようとすると上半身の姿勢が大きく崩れます。
全身に占める脚の割合が大き過ぎるからです。
客観的に脚は短く重く見えます。
踏めてる人は「胴が長く脚が短い」「膝と足首の中間に腰」ですから昔MCハマーが履いていたサルエルパンツのような体です。
実は短い脚を上げようとすると、客観的に脚は長く見えるのです。
(ここで説明する短い脚とは、股関節をつめて上げる間違った脚の上げ方ではありません)
それでは胴長短足のイメージを使ったグランバットマンのコツです。
まず足首と膝の中間にある支点が、しなった(反り返った)イメージにします。
スネがX脚方向に反っているイメージです。
その支点でターンアウトします。
脚は重力で下に引っ張られ重くなります。
足首や土踏まずが重くなります。
足首に重りをつけたような感覚です。
重くなるから足裏がピタッと床に吸い付いた感覚になります。
(こういうことは私のレッスンを受ければ体感できます)
股関節も支点までストーンと下げます。
股下をどんどん短くしていきます。
股関節で床を踏む、股関節が踵のイメージです。
そしてサルエルパンツの体の短い脚を、低く低く下から上げる。
脚は床の下まで深く生えてる(伸びてる)感覚です。
お腹のすぐ下に床があるような感覚です。
それでいて、お腹から膝までの距離は長い感覚もあります。
そして軸から脚を飛ばします。
足首から土踏まずにかけてが重いので、放り投げることが出来ます。
放り投げるので軽く振り上げることが出来ます。
脚は振り子になります。
このような方法でグランバットマンした時、客観的に脚は長く見えます。
脚を短く使えた時、自分自身の感覚としては脚は長く感じます。
踏めてる人は、脚が短いから長く感じ、重いから軽く感じます。
踏めてない人は、脚が長いから短く感じ、軽いから重く感じます。
実際に体でおきていることと、感覚的に感じることが真逆なのです。
だからバレエは教えるのも、教わるのも難しいのです。
言葉で説明すると正解と不正解がそっくりだったりするので、体で体感させる教え方をビートではしています。
でも世の中の人々は簡単に理解出来る教え、わかりやすい教えをしている先生を選びがちです。
そして、グランバットマンで脚を上げても、体のかなり下のほうだけで起きている出来事なので、上半身にはなんの影響もありません。
上げた脚に引っ張られ骨盤が傾き過ぎることもありません。
脚を上げるために上半身は使いません。
全身に占める脚の割合が小さいからです。
あとはグランバットマンでは無理して高く上げようとせず、軸足で上げられるぶんしか動足を上げないこともコツです。
「それじゃあ高く上げられない」と思うかもしれませんが、長期的にはそのほうが高く上げられるようになります。
今回はグランバットマンのコツを説明してきましたが、このブログを読んだ人が実際にこの方法で脚を上げることはなかなか難しいと思います。
元々の体が違うので。
バレエはコツを知識として知ったから出来るとか、努力したから出来るようになるものではありません。
バレエが出来る体だから、バレエが出来るだけです。
体をバレエ向きに変えていくことでしか、踊れるようにはなりません。
次回は「バレエ界の事実と真実」です。
続く。