踏める人と踏めない人の体は何が違うの?
なぜ大人からバレエを始めても踊れないの?
日本人と西洋人の踊りは何が違うの?
なぜ日本人バレエダンサーの踊りは固いの?
なぜ日本人は体幹が弱く脚が太いの?
バレエに向いた体ってどんな体?
そういった疑問を6回シリーズで物理的に解明していきます。
今までもブログで
「踏める人には踏む支点があり、その位置が低い。踏めない人は支点が高い」と説明してきました。
ではなぜその支点の高さに違いがでるのか?
その理由がわかったので説明します。
テコには力点、支点、作用点があります。
これに立位の人間の体に当てはめてみましょう。
力点が下半身、作用点が上半身になります。
そのテコは左右対角にクロスしていて、このクロスしているところが支点です。
左右対角にクロスしているので身体に捻りが生まれ螺旋が生まれます。
これがエポールマンです。
クロスしてない2本の軸を持つ人もいますがエポールマン自体が生まれないのでバレエ向きの身体ではありません、だから上体スクエアを、意識しては駄目なのです。それについてはまた別に説明します。
では本題です。
まず踏めてない人はどんなテコで体を動かしているか?
下半身(股関節)の機能が悪い、重心移動がスムーズではない。
だから体を動かすのに強い力が必要です。
強い力を出すと疲れます。ストレスです。
人間は本能的に疲れたくないので、無意識に体を疲れない方向に変えていきます。
弱い力で楽に動かすために、体の中のテコの力点と支点の距離を長くします。
支点の高さを、みぞおちのあたりまで高くします。
これは老化した体であり、この方向に人間の体が変化していくのは自然なことです。
無理して頑張って生きてきた人ほど踏めない体になりがちです。
次に踏めている人はどんなテコで体を動かしているか?
下半身(股関節)の機能が良い、重心移動がスムーズ。
だから体を弱い力(バレエ的に表現すると細い力)で動かせます。
踏めてない人とは反対に、力点と支点の距離が短くなります。
支点の高さは膝下まで低くなります。
無理なことは無理とあきらめ、自分の出来る範囲内で生きてきた人のほうが踏める体を維持していることがあります。
この低い支点で体を動かす感覚をバレエ界では「床を踏む、床を押す、床を刺す」と呼びます。
「床を感じる、床と繋がる」とは「床に支点が近い」ということです。
このように床を踏むのに必要なのは筋力ではなく、優れた機能です。
私がビートの超基礎のクラスで教えているパッシブムーブメントがそれにあたります。
先生に「もっと強く床を踏んで!」と言われたら、床に向かって今までより強い力で圧力をかけようとしてはいけません。
10キロの力を20キロに増やせば踏めるわけではありません。
踏める踏めないは、力の強さとは関係ありません。
条件の良い人は力を抜けば床が踏めます。
そういう体を作らないとバレエは踊れません。
まずは人によって支点の高さが違うことを理解してください。
次回はバランスの取り方についてコマで説明します。
続く。
コメントをお書きください