今までブログ等で以下のような説明をしてきました。
バレエの床の踏み方には2種類ある。
2種類の方法とは「足裏で床をつかみ垂直に踏む踏み方」と「しなりを転がす踏み方」。
この2種類の踏み方は真逆である。
そして、足裏で床をつかみ垂直に踏むと、体幹が弱くなり、踊りは固くなる。
しなりを転がすと体幹は強くなり、踊りはしなやかになる。
このことを理解するのに、建物の構造力学が参考になります。
それが鋼接合と、ピン接合です。
剛接合とは、「部材同士を一体化する接合方法」です。
例えば、床と柱を「がっちり固定」するような方法です。
足裏で床をつかみ垂直に踏むバレエダンサーは、床と足裏が鋼接合です。
鋼接合の特徴に、地震のような外力が加わると柱には曲げる力が発生する。というものがあります。
地震の横揺れで倒れる電柱をイメージしてください。
バレエで言えば、踊っている時に体幹が折れ曲がりやすい。ということです。
足裏を床に固定しているので当たり前です。
鋼接合のバレエダンサーは、足裏でしっかり床をつかみ安定させるために、足裏強化のトレーニングに励む傾向があります。
足と床を一体化して動かなくすることでバランス(静的バランス)をとる、まさに鋼接合です。
踏むと言うより、踏ん張るのほうがイメージに合います。
土踏まずでつかむ力が強くなり床に足を固定できるようになるほど、体幹は折れ曲がりやすくなります。
ですからこのタイプのバレエダンサーには体幹トレーニングが必須なのです。
揺れに対して体全体で耐えるためです。
ですが、いくら強化しても構造的には弱い体幹のまま無理やり部分的に固めてホールドしつつ踊るので、自然にしなやかに踊ることは理論上は不可能です。
鋼接合で建てたラーメン構造(ラーメンはドイツ語で枠の意、英語ではフレーム構造)の建物の特徴に「一部が壊れても崩れず、多くの部分が壊れて崩壊する」というものがあります。
鋼接合のバレエダンサーも、全身の関係性で踊っているわけではないので1箇所を痛めても踊れてしまうため「痛いけどまだ踊れる」と思っているうちにどんどん体を痛めていくかもしれません。
良く言えば、怪我しても「無理して踊れる人」です。
次回はバレエ本来の床の踏み方、ピン接合について書きます。
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