ゴルフ、傾斜に対応できる立ち方とは?

※この記事はゴルファーを対象に書いていますが、他のスポーツ、ダンス、音楽家その他の人にも極めて重要な内容です。


ゴルフの練習グッズに傾斜マットというものがあります。

ゴルフの練習場の床は水平ですが、ゴルフコースの地面は傾斜があるから「その傾斜を再現して練習すれば上手くボールを打てるようになるはず」という発想から作られた練習グッズのようです。


この傾斜マットの上に立ってゴルフの練習することは効果があるでしょうか?

私の考えでは、使い方次第で効果があったり無かったりします。


その理由について書いていきます。


人間の立ち方は、ビートで教えている床を踏んだ立ち方が理想です。

常にアーチが揺れるような重心移動で動的バランスを取っているので、固定された重心の片寄りがありません。

実際に欧米のバレエの劇場の舞台は傾斜があります。

その上で、つま先立ちしたり、回ったり、ジャンプしたりできるのも床が踏めているからです。


しかし、日本人の大半は重心が片寄った立ち方をしています。

重心の片寄る方向は2つに分けられます。


・つま先に片寄っている人

・踵に片寄っている人

(小指側、親指側にも片寄りますが、今回は省略します)


つま先に片寄っている人は、水平な床に立っていても、下り坂で立っているような角度で足首が(無意識に)固定されています。


このタイプの人は下り坂で上手くボールを打てません。

元々、つま先下がりの角度に固定された足首なのに、実際の地面の傾斜で更に急角度のつま先下がりにされてしまいます。

重心の片寄りが増幅され、姿勢が普段以上に悪くなり打ちにくくなります。


おそらく傾斜マットを利用している人は、苦手を克服しようとして苦手な傾斜で練習することが多いと思います。

しかし、それをやると変な癖がついたり、怪我をする可能性があります。


逆に上り坂だと、普段つま先方向に片寄っている重心が持ち上げられて矯正されます。(なかなか矯正されない人もいます)

背筋が上に伸び、無駄な力が抜けて、関節の可動域も広がります。

普段より正しい姿勢になり、打ちやすくなります。


傾斜マットを使うなら、このように自分の姿勢が矯正される傾斜で練習したほうが良いです。

才能ある子供やセンスのある若い人なら、矯正される傾斜でひたすら練習しているうちに正しい立ち方がわかる人もいるかもしれません。

もし、そうなれば苦手な傾斜は無くなります。


このように重心が、つま先や踵に片寄っているかぎり、以下のように得意な傾斜と苦手な傾斜ができてしまいます。


《つま先重心の人》

上り坂が得意。下り坂が苦手。

《踵重心の人》

上り坂が苦手。下り坂が得意。

《床を踏めている人》

上り坂も下り坂も得意。


ゴルファーの人達は、つま先上がり、つま先下がり、左足上がり、左足下がりの4つの傾斜ごとにそれぞれ打ち方のコツがあると考えて、それを意識している人は多いようです。

ですが、根本的な立ち方を改善しないかぎり、傾斜に対応してボールを打てるようにはなりません。


その立ち方こそビートで教えている、床を踏む立ち方です。

もちろんバレエ、ゴルフ以外のスポーツ、音楽などでも重心移動ができない体では、ある程度のレベルまでしか上達しません。




重心がつま先に片寄っている人。

水平な床でもこのような重心で立っている。

 

 

つま先に重心が片寄っている人が、上り坂に立つことで重心の片寄りが矯正された状態。正しい姿勢になり、ボールが打ちやすくなる。

つま先に重心が片寄っている人が、下り坂に立つことで重心の片寄りが増幅された状態。姿勢が悪くなり、ボールが打ちにくくなる。

↓床をしなりで踏めば重心に片寄りが無いので、下り坂にも上り坂にも対応できる。どちらも打ちやすい。苦手な傾斜は無い。