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ソコロフ自体が楽器

ホロヴィッツとタイプは違いますが完全なロシアピアニズムですよね。


波が大きいので、動きも必然的に大きくなります。余計な動きは1つもなくシンプルです。

波が大きいから、それに合わせた身体の動きに自然になっている。


何故、波が大きくなるか?

それはソコロフの胸郭が肩幅に対して大きいから、僧帽筋に力みが無い。

だから、腕の重みがしっかり鍵盤にかかる。

それで支えが強い。

上腕が脇から少し離れた位置で横回転の円を描くように波うちます。

だからあのスタイルです。

ホロヴィッツより3次元的な波です。



足→骨盤→背骨→頭→。

手→肘→肩→頭→。

この2つの流れが脳天に抜ける。

だから、手のひらから頭(脳)に向かっての衝撃がある。

衝撃波。


これによって頭は自然と「無」になる。

何も考えてない。考えられない。

動物に近いと言うか、本能だけで弾いている。

ある意味子供とも言える。


ソコロフ自体が楽器。

ピアノマシーン。

「ソコロフがピアノを弾いているのか?ピアノがソコロフを弾いているのか?」状態。


演奏前に「この曲はこういう感じで弾いてみよう」とか計画していたとしても、全部忘れてそう。

普段から忘れっぽい人かもしれない。

踏めている人は歩くだけで小さな衝撃が脳に来るから。


日本人みたいに平坦な歩きをすると、それは無い。膝が曲がって筋肉で衝撃を吸収するから。

だから脚ばかり太くなる。


「無」だから、どんな人か興味がわく。

「無」だから聴く側が自由に解釈できる。解釈の幅が広い。


特定の感情を込めて弾くと、聴く側の解釈の幅が狭くなる。

そういう演奏が嫌いと言っているわけではないです。


続く。