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ショパンのハーフパイプ

前回書いたようなスケボーのハーフパイプのような感覚が一流ピアニストの体の中にはあります。腕や脚だけでなく体の中に。

振り子のようなブランコのような感覚です。

 

これはとても原始的な機能です。

 

ショパン、モーツァルト、バッハ、ベートーベン、チャイコフスキー…。

そういった作曲家の体にもハーフパイプがあります。間違いなくあります。

ショパンにはショパンの、モーツァルトにはモーツァルトのそれぞれ違ったハーフパイプがあります。

 

クラシック音楽にかぎらず、ロック、ヘビーメタル、ジャズ、カントリー、ソウル、ヒップホップ…そういう音楽にもあります。

 

ピアニストの方にも、この感覚は間違いなく必要です。

 

例えば、曲をコンサート等で演奏するために練習する時。

楽譜をじっくり読み、強弱、テンポ、記号で表されるいろいろな要素等を考え、他のピアニストの音源を聴き、その作曲家の個性、思想その他いろいろ。

 

ピアニストの方は、そういったことを分析して作品を理解し、そして自分なりの表現を考え、ピアノを弾くのではないかと思います。

こういった努力はすべて頭の中の話です。その努力が内面を変えそれが音に滲み出ると思うかもしれませんが、いくら頭で考えてもピアニストの体の中にハーフパイプのようなものが無ければ、作曲家を理解することも表現することも出来ないのです。

ショパンの体にあったものが、あなたの体の中に無いんですから。

音楽は頭ではなく、体で理解するものだと思います。

ハーフパイプがない人が表現したいものは、小説のようなもので音としては相手には伝わらないのです。

 

内面や感情を表現したい、ピアノで歌いたい。

そうあなたがいくら思ってもハーフパイプが無いと自分が浸ってるだけの演奏になってしまいます。

 

体の中に歌が無いからです。

 

あなたがどれだけピアノを愛していても、喜怒哀楽を込めて弾いても、聴く耳を持つお客さんには伝わりません。

このハーフパイプは床を踏める人間にある感覚であり機能です。