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ロシアピアニズムという奏法をやろうとしている人にならないために

最近ロシアピアニズムの方達のブログを読んでいるのですが、皆さん虫様筋に注目しているようです。

 

ロシアピアニズムは第三関節を曲げる。

第三関節を曲げる筋肉は虫様筋。

だから虫様筋を鍛える。

と考えている方が多いようです。

 

これについての私なりの考えを書いてみます。

 

まず腕には2つの局面があります。

「しなり」と「反転」です。

その移行局面が「転がり」です。

 

反転した局面を、ロシアピアニズムの方達は「手の支え」と呼んでいるようです。

 

虫様筋を収縮させるとこの形になる。と言われている形です。

本来この形は、しなり、転がり、反転という機能の結果ならなければいけない形です。

機能が無いのに形だけ真似すると本質から遠ざかってしまいます。

 

だから私は、この形を虫様筋で意識的に作ってしまうのは違うと思います。

これだと「ロシアピアニズムという奏法をやろうとしている人」になってしまいます。

「やろうとしている人」だと天才にはなれません。

 

「やろうとしている人」ではなく「ロシアピアニズムな人」にならなければ駄目だと思います。

 

バレエでもそうです。

筋肉の力でこの形を作るのではなく、まず脚のしなりから土踏まず(足底腱膜)のバネでビュン!とひっくりかえると土踏まずが突き上げられ、自然とこうなります。

この軌道ですと土踏まずが遠くに引っ張られ、脚が遠くに伸びます。

手のひらの場合は手掌腱膜のバネです。

腱膜はトランポリンみたいなものです。

トランポリンに腕、もしくは膝下を沈めると、ピアノなら手の甲が、バレエなら足の甲が、はじき出されます。

 

これが出来ると簡単で、スピードが速く、強くて、疲れません。頭も使わないので本当の意味で自分の演奏に集中できます。

自分の内側とピアノが一体化し、つながります。

 

筋肉を意識的に鍛えると、どうしても筋肉を意識的に使ってしまうので頭を使いがちです。

ボルトが走っている時に筋肉を意識しているでしょうか?

もちろんしていません。

 

筋肉を意識すると動くのが難しくなり、固くなり、遅くなり、疲れやすくなります。

頭も疲れます。

 

続く