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ロシアピアニズム、どうやって指を上げるのか?

ピアノを弾く動きは大雑把に言えば「指を上げる」「指を下げる」この2つだと思います。


ロシアピアニズムは指を下げる奏法であるとされています。

腕の重みを重力で落下させる。


「じゃあどうやって打鍵後に指を上げるの?」と疑問に感じませんか?

重力で落下させると下に沈んでいき、指はいつまでたっても上がってこない。

ずっと鍵盤を押したままで力が抜けない。


ここで指を普通に持ち上げたら一般的な奏法と変わりません。


ロシアピアニズムを身につけた人なら「指が上がってくる」感覚があるはずです。

自分で「上げる」のではなく「上がってくる」という能動的ではなく受動的な感覚。


これはバレエでもあります。

床を踏めない人は踏もうとすると、下に沈んでしまいます。

だから「下げる」と「上げる」が別々の動きになってしまいます。


正しく踏めると「下げたから上がる」になります。


この感覚になるためには、脚全体がしなること。

しなった脚に体重をかけ支点を作ります。

その支点を、つま先方向に移動させていきます。

ロッキングチェアを重心移動で揺らす感じです。

重心の転がりです。

つま先まで転がりきったら、バネが反転して上がります。


重心を転がすためには土踏まずが反ってなければ転がりません。

土踏まずも足の指も反り返ります。


よくある間違いが「土踏まずで床をつかむ」ような力を入れてしまうことです。

これでは転がりません。

「上がる」の形を真似しているだけです。

半分正解ではありますが、半分正解ということは全然わかってないってことです。


正しく踏めると「床をつかむような感覚」がありますが、実際につかもうとしているわけではありません。


ピアノだと「卵をつかむ」ような力を手のひらに意識的に入れてしまうのは間違いだと思います。

打鍵後に結果としてそういう感覚がするだけではないでしょうか。

鍵盤を押す前から、卵をつかむ手をしていたら、それは違うと思います。

「下がる」が無いまま「上がる」ばっかりやっているからです。

「下がる」と「上がる」は2つで1つです。


続く。