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土踏まずのアーチの高さの受動的変化

皆さんは足のトラス機構とウィンドラス機構をご存知ですか?


ジャンプして着地した時などに土踏まずのアーチは低く潰れ、柔らかい状態になって衝撃を吸収するクッションの働き。


これがトラス機構。


以前に書いたイソギンチャクのパカー!です。


そして歩行でつま先で地面を蹴りだす時などには、土踏まずのアーチは元の形状を取り戻し、高く硬くなる。

そして前に進む強い推進力を生み出すバネの働き。  


これがウィンドラス機構。


以上のように土踏まずのアーチは、常に状況に応じて低くなったり高くなったりしてクッションとバネ、柔らかさと強さ、という相反する働きを共存させています。


傘が開いたり閉じたりする様子を思い浮かべてください。


それを無意識に足がおこなっています。


バレエをやっている人に多いのですが意識的に「土踏まずを使おう」「土踏まずを高くしよう」「足裏の強化」と考えて足裏に力を入れている人がいます。


足裏に力を入れて固めているとクッション機能が無くなって関節や筋肉に負担がかかります。


アーチの骨格や腱が広がって伸びてクッションを効かせている時に、筋肉だけ意識的に縮めるのは危険です。

怪我をします。


筋肉にはポジティブとネガティブの局面があります。

リフトで女性を持ち上げるのがポジティブ、持ち上げた女性を降ろすのがネガティブ。

50キロの女性をぎりぎりリフト出来る男性は、55キロの女性を降ろすことが出来ます。


ネガティブのほうが筋力が強いのです。


土踏まずのアーチは低くなる時がネガティブです。

この時が強い。


わざわざ土踏まずを高くする力を入れるとポジティブなので本人の意思に反して足裏の強化にはなりません。

それは足裏の弱化です。


力を抜けば抜くほど土踏まずに体重が加わり、自然と土踏まずが使えます。

これが「力を抜けば強く立てる」というパッシブな考え方です。


足の裏をりきむことと踏むことは違うのです。

床に穴を掘って足を突っ込むような立ち方は土踏まずで踏ん張って固定しています。

これは違います。


それと靴の話を最後に。


土踏まず部分が盛り上がっていて、土踏まずの下に隙間がまったくできない靴は良くないと思います。


土踏まずはアーチがあることに意味があるのではありません。

アーチが高くなったり低くなったりすることに意味があるので、土踏まずを下からしっかり支えてしまうと機能を発揮できません。