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順バレエと逆バレエ

ロボットの世界には順運動学と逆運動学というものがあるそうです。


中心の動きから末端の動きが決まるのが順運動学、末端の動きから中心の動きが決まるのが逆運動学なんだそうです。


工場の製造ラインで車を作っている腕みたいなロボットとかは主に逆運動学です。毎日、完璧に正確な動きをしていることでしょう。


バレエを教えている人同士で話をしていると、最近は技術的なレベルが上がっているのに魅力的なダンサーが出てこないという話になることがよくあります。


みんな同じになっちゃったねっていう話です。


これは逆バレエだからじゃないかと思うのです。


美しく見えるであろう、手先の形。

美しく見えるであろう、つま先の形。

美しく見えるであろう、首の角度。


こういうふうに体の末端を先に計算して作り込んで、それに合わせた中心になっている。


こうすると綺麗なバレエの形だけど綺麗じゃないという現象がおきます。

完璧なバレエロボットだけどつまらないんです。

そこには自然な繋がり、波、上への伸びが無いのです。


そして、綺麗じゃないだけならいいけど末端から決めていくと必ず怪我をします。


体には連鎖反応があります。


つま先、手先、頭の位置や角度を決めるということは、スタートとゴールの位置をあらかじめ決めてしまうということです。

そうすると体幹とかでつじつまを合わせるしかありませんから体に無理な負担がかかります。