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頑張るほどに硬くなる動き

 


バレエを頑張るほど動きが硬くなるという現象があります。

硬いと言うのはストレッチ出来ていないとか、そういうことではありません。

 

人間の立ち方には二種類あります。

 

関節を曲げて体を下に沈めて安定させる立ち方。

これが床を踏めてない日本人にありがちな立ち方。 

もう1つが体を上に伸ばしてバランスをとる立ち方。

こちらが床を踏めるバレリーナの立ち方。

 

特にX脚の人はしなった脚を上に伸びる力に利用することが出来れば、細く深く強く踏めるので、最大限に自分の表現を発揮させることが出来るでしょう。

ただ日本ではX脚のひとに適した指導が出来る人は、なかなかいません。X脚の脚は良くない、痛めやすい、引き上がらない、と良きものを悪いものとして指導を行う方もいます。

 

膝が曲がれば、股関節が曲がり、足首が曲がり、骨盤が傾き、体幹が曲がり、みぞおちが曲がり、首が曲がり…というように全身の関節が曲がります。

まっすぐ上に伸びる力は無く、ジグザグに折れ曲がった体です。

 

この身体で腕を上げると、無意識に腕と胴体は近づきます。

体がジグザグで上に伸びる力が無いので腕の重みに胴体が引っ張られるからです。

 

アームスをアンオーやアラセゴンドにした時、身体を沈めながら腕を上げるようになります。

肩に力が入り関節の隙間が無くなる動きです。

グランバットマンで脚を上げる時も、胴体が沈むので、無意識に脚と胴体を近づけて上げます。 

肩関節も股関節も動きのなかでの可動域が狭くなります。

 

このように床が踏めてない人は末端から中心に縮もうとする力が無意識に働きます。

日本人は遺伝的にこのような内に内に縮む動きを得意とします。  

 

そういう人に「もっと腕を遠くに!、もっと脚を遠くに!」と注意しても、伸ばす筋肉に力を入れるだけですからどんどん動きが硬くなります。

無意識に縮もう筋肉に対して、伸ばす筋肉に意識的に力を入れることになります。

これではバレエになりません。


 

正しく床が踏めれば、関節は縮む方向に曲がらなくなります。